プロテクションフィルム(PPF)とカーラッピングフィルムの違い - 素材・構造・耐久性など技術的に解説
- ベストフィット 合同会社
- 12月1日
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車の外装に「フィルムを貼る」方法として、よく比較・混同されるのが、
Paint Protection Film(PPF/プロテクションフィルム) と
Vehicle Vinyl Wrap(カーラッピングフィルム/ラップフィルム)。
見た目は似ているようでも、使われている素材・フィルム構造・目的・耐久性には大きな違いがあります。ここでは、技術面も含めてその違いを整理します。

素材と構造の違い
TPU(ポリウレタン)vs PVC(塩化ビニル)
PPF(プロテクションフィルム) は、主に TPU(熱可塑性ポリウレタン) を基材としています。
ラッピングフィルム は、一般的に PVC(塩化ビニル) を基材とするビニールフィルムが主流です。
この素材の違いが、その後の「耐候性・耐衝撃性・見た目・寿命」など多くの性能差につながります。
なぜ TPU(PPF)が優れているのか
柔軟性と伸縮性が高く、複雑なボディの曲面にもフィットしやすい。
耐衝撃性、耐摩耗性、耐候性に優れ、飛び石などの衝撃から塗装を守る。
自己修復(セルフヒーリング)機能を持つタイプも多く、軽い擦り傷などは熱や日光で元に戻る。
厚みがあり(多くは約150〜200µm)、塗装面に対する保護層として十分な厚さ。
このため、PPFは単なる「見た目のカバー」ではなく、「塗装そのものを守るための機能的な層」として設計されています。

一方、PVC(ラッピングフィルム)の限界
柔軟性・伸縮性はTPUに比べ劣るため、複雑なボディ曲面に対してはフィットが難しく、施工後に「浮き」や「端の剥がれ」が起きやすい。
紫外線や熱、酸性雨などの環境・経年劣化に弱く、変色・黄ばみ・硬化・ひび割れなどが比較的早く起こりやすい。
厚みが薄く(一般に80〜100µm前後またはそれ以下)、衝撃吸収性や飛び石・飛沫からの塗装保護能力は限定的。
長期間の使用には向かず、耐用期間としては数年単位(一般に3〜5年、条件によってはそれ以下)になることが多い。
つまり、ラッピングフィルムはあくまで「外観の変化・デザインまたは一時的なイメージ変更」を目的としたフィルムであり、長期保護や厳しい環境への対応力では限界があります。
🛡️ 耐久性・保護性能の比較
項目 | PPF(TPU) | ラッピング(PVC) |
素材 | TPU(ポリウレタン) | PVC(塩化ビニル) |
厚み | 約 150–200 µm(種類によって異なる) | 約 80–100 µm(またはそれ以下) |
衝撃・飛び石耐性 | ◎ 高い。塗装を物理的に守るレベル。 | △ ほぼ期待できず。衝撃で破れやすい。 |
紫外線・経年耐性 | ◎ 高い — UV、酸性雨、汚れ、擦れに強い。 | △ 低め — 紫外線・熱・雨・汚れで劣化しやすい。 |
自己修復 | ◎ 多くのタイプでセルフヒーリングあり。 | × なし。傷はそのまま残る。 |
見た目の変化 | △ 主に「透明」または「つや消し/マット」など限定的。色の変更は難しい。 | ◎ 豊富なカラー・質感・柄が選べる(マット、グロス、カーボン柄など) |
耐用期間の目安 (九州の場合) | 5〜10年程度(使用状況・環境により) | 2〜3年程度(環境・手入れ頻度により) |
なぜ「PPF = 塗装保護」「ラッピング = 目立たせる/色を変える」が通説なのか【技術的根拠】
PPFがTPU素材を使うのは、TPUが紫外線・熱・化学薬品・衝撃に強く、透明性も高いため。この特性があるからこそ、まさに「塗装の保護」が可能。
また、TPU の「弾性」「柔軟性」「伸縮性」により、車体の複雑な曲面 — ボンネットの縁、フェンダーのライン、ドアの凹凸 — にも綺麗にフィットする。これにより、隙間や端の浮きを防ぎ、密着性を確保。
多くの PPF に備わる「自己修復コート(セルフヒーリング)」は、TPU の分子構造によるもの。熱や太陽光で軽度の擦り傷・ヘアラインキズが復元され、見た目を維持できる。
一方で、ラッピングフィルム(PVC)は主に 見た目の変化・デザイン性を目的とするため、コストや施工のしやすさが重視されるが、素材特性として「紫外線劣化」「硬化」「伸縮性の限界」「衝撃への弱さ」があり、長期間の「保護」は不得意。
なぜ混同されるのか? → 表面的な「フィルムを貼る」という共通点
確かに、初心者の目からすると、どちらも「ボディにフィルムを貼る」という工程。「フィルム=塗装保護」「フィルム=色変え可能」など、言葉だけ聞くと同じカテゴリに見えやすく、「PPF = 透明ラッピング」「ラッピング = 似たようなもの」と混同されがちです。
しかし、用途・目的・素材・性能がまったく異なる「別物」 だということを、今回のように技術的に整理すると理解しやすくなります。
技術的視点から見た「どちらを選ぶべきか」 目的をしっかりもってお選びください!
「塗装を長く守りたい/飛び石・紫外線・汚れ・擦り傷などから塗装を守りたい」 → → PPF(TPU) が最適。塗装保護・自己修復・長期耐久を兼ね備える。
「見た目を変えたい/カラー・質感・デザイン性を重視/気軽にカスタムしたい」 → → ラッピング(PVC)。ただし、塗装保護力は限定的。
「保護も、見た目も、どちらも少し欲しい」 → → カラー付きPPF(または近年増えている“カラープロテクションフィルム”)を検討。TPU の保護性能 + 見た目チェンジのバランスが取れる。



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