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プロテクションフィルム(PPF)とカーラッピングフィルムの違い - 素材・構造・耐久性など技術的に解説

  • 執筆者の写真: ベストフィット 合同会社
    ベストフィット 合同会社
  • 12月1日
  • 読了時間: 4分

車の外装に「フィルムを貼る」方法として、よく比較・混同されるのが、

Paint Protection Film(PPF/プロテクションフィルム) と

Vehicle Vinyl Wrap(カーラッピングフィルム/ラップフィルム)。


見た目は似ているようでも、使われている素材・フィルム構造・目的・耐久性には大きな違いがあります。ここでは、技術面も含めてその違いを整理します。


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素材と構造の違い TPU(ポリウレタン)vs PVC(塩化ビニル)

  • PPF(プロテクションフィルム) は、主に TPU(熱可塑性ポリウレタン) を基材としています。

  • ラッピングフィルム は、一般的に PVC(塩化ビニル) を基材とするビニールフィルムが主流です。

この素材の違いが、その後の「耐候性・耐衝撃性・見た目・寿命」など多くの性能差につながります。


なぜ TPU(PPF)が優れているのか


  • 柔軟性と伸縮性が高く、複雑なボディの曲面にもフィットしやすい。

  • 耐衝撃性、耐摩耗性、耐候性に優れ、飛び石などの衝撃から塗装を守る。

  • 自己修復(セルフヒーリング)機能を持つタイプも多く、軽い擦り傷などは熱や日光で元に戻る。

  • 厚みがあり(多くは約150〜200µm)、塗装面に対する保護層として十分な厚さ。

このため、PPFは単なる「見た目のカバー」ではなく、「塗装そのものを守るための機能的な層」として設計されています。


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一方、PVC(ラッピングフィルム)の限界


  • 柔軟性・伸縮性はTPUに比べ劣るため、複雑なボディ曲面に対してはフィットが難しく、施工後に「浮き」や「端の剥がれ」が起きやすい。

  • 紫外線や熱、酸性雨などの環境・経年劣化に弱く、変色・黄ばみ・硬化・ひび割れなどが比較的早く起こりやすい。

  • 厚みが薄く(一般に80〜100µm前後またはそれ以下)、衝撃吸収性や飛び石・飛沫からの塗装保護能力は限定的。

  • 長期間の使用には向かず、耐用期間としては数年単位(一般に3〜5年、条件によってはそれ以下)になることが多い。

つまり、ラッピングフィルムはあくまで「外観の変化・デザインまたは一時的なイメージ変更」を目的としたフィルムであり、長期保護や厳しい環境への対応力では限界があります。



🛡️ 耐久性・保護性能の比較

項目

PPF(TPU)

ラッピング(PVC)

素材

TPU(ポリウレタン)

PVC(塩化ビニル)

厚み

約 150–200 µm(種類によって異なる)

約 80–100 µm(またはそれ以下)

衝撃・飛び石耐性

◎ 高い。塗装を物理的に守るレベル。

△ ほぼ期待できず。衝撃で破れやすい。

紫外線・経年耐性

◎ 高い — UV、酸性雨、汚れ、擦れに強い。

△ 低め — 紫外線・熱・雨・汚れで劣化しやすい。

自己修復

◎ 多くのタイプでセルフヒーリングあり。

× なし。傷はそのまま残る。

見た目の変化

△ 主に「透明」または「つや消し/マット」など限定的。色の変更は難しい。

◎ 豊富なカラー・質感・柄が選べる(マット、グロス、カーボン柄など)

耐用期間の目安 (九州の場合)

5〜10年程度(使用状況・環境により)

2〜3年程度(環境・手入れ頻度により)



なぜ「PPF = 塗装保護」「ラッピング = 目立たせる/色を変える」が通説なのか【技術的根拠】


  • PPFがTPU素材を使うのは、TPUが紫外線・熱・化学薬品・衝撃に強く、透明性も高いため。この特性があるからこそ、まさに「塗装の保護」が可能。

  • また、TPU の「弾性」「柔軟性」「伸縮性」により、車体の複雑な曲面 — ボンネットの縁、フェンダーのライン、ドアの凹凸 — にも綺麗にフィットする。これにより、隙間や端の浮きを防ぎ、密着性を確保。

  • 多くの PPF に備わる「自己修復コート(セルフヒーリング)」は、TPU の分子構造によるもの。熱や太陽光で軽度の擦り傷・ヘアラインキズが復元され、見た目を維持できる。

  • 一方で、ラッピングフィルム(PVC)は主に 見た目の変化・デザイン性を目的とするため、コストや施工のしやすさが重視されるが、素材特性として「紫外線劣化」「硬化」「伸縮性の限界」「衝撃への弱さ」があり、長期間の「保護」は不得意。



なぜ混同されるのか? → 表面的な「フィルムを貼る」という共通点


確かに、初心者の目からすると、どちらも「ボディにフィルムを貼る」という工程。「フィルム=塗装保護」「フィルム=色変え可能」など、言葉だけ聞くと同じカテゴリに見えやすく、「PPF = 透明ラッピング」「ラッピング = 似たようなもの」と混同されがちです。

しかし、用途・目的・素材・性能がまったく異なる「別物」 だということを、今回のように技術的に整理すると理解しやすくなります。



技術的視点から見た「どちらを選ぶべきか」 目的をしっかりもってお選びください!


  • 「塗装を長く守りたい/飛び石・紫外線・汚れ・擦り傷などから塗装を守りたい」  → → PPF(TPU) が最適。塗装保護・自己修復・長期耐久を兼ね備える。

  • 「見た目を変えたい/カラー・質感・デザイン性を重視/気軽にカスタムしたい」  → → ラッピング(PVC)。ただし、塗装保護力は限定的。

  • 「保護も、見た目も、どちらも少し欲しい」  → → カラー付きPPF(または近年増えている“カラープロテクションフィルム”)を検討。TPU の保護性能 + 見た目チェンジのバランスが取れる。



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